こんにちは。
「Hemma Bäst! わが家がいちばん!」へようこそ。
家づくりを始めると、住宅展示場やカタログで、
こんな言葉を見かけることがあります。
「30年間メンテナンス不要」
「汚れにくい外壁」
「メンテナンスフリー」
どれも、忙しい毎日を送るわたしたちにとって、
とても魅力的な言葉ですよね。
仕事に、子育てに、家事に追われる日々。
休日くらいは、ゆっくり過ごしたい。
だからわたしも、

できるだけ手がかからない家がいい
と思っていました。
でも、実際に住み始めてから、
その考え方は少しずつ変わっていきました。
家は、「何もしなくていいもの」ではありませんでした。
季節の移ろいを感じながら、少しだけ手を掛けたくなる。
そんな存在だったのです。
「メンテナンスフリー」は、本当なの?
ここで、一度立ち止まって考えてみたいことがあります。
本当に、
何十年も手入れをしなくていい外壁はあるのでしょうか。
答えは、おそらく「ありません」。
だって、
お手入れがいらないお肌なんてありませんから!
木も。
塗り壁も。
窯業系サイディングも。
タイルも。
どんな素材でも、毎日、紫外線を浴びています。
雨に濡れ、風にさらされ、真夏には太陽の熱を受け、
冬には凍った空気に冷やされます。
人が年齢を重ねるように、
家もまた、少しずつ歳を重ねていくのです。
だからわたしは、
「劣化しない家」を探すことをやめました。
代わりにえらびたいと思うようになったのは、
「美しく歳を重ねる家」。
北欧スウェーデンの街並みを見ていると、
その美しさを感じずにはいられませんでした。
そこでは、築80年、築100年以上という家が、
今も大切に使われいました。
新品のようだから美しいのではありません。
時間を味方につけながら、
家族と一緒に歳を重ねてきたからこその美しさです。
家も、人も、少しずつ変わっていく。
その変化を受け入れることも、
豊かな暮らしの一部なのかもしれません。
色は、好みの問題ではありませんでした
外壁の色というと、「好み」の問題だと思われがちです。
もちろん、それも大切です。
でも実は、色には家を守る役割もあります。
真夏の日差しを思い浮かべてみてください。
黒い車と白い車が並んでいたら、
どちらのドアが熱くなっているでしょうか。
きっと、多くの方が経験されたことがあると思います。
黒い車のドアは、
思わず手を引っ込めたくなるほど熱くなっています。
家も同じです。
外壁は、毎日、太陽の光を受け続けています。
濃い色の外壁は夏場に約80℃近くまで上昇する一方、
白や淡い色の外壁は40℃程度に抑えられるそうです。
この約40℃の差は、
ただ「さわると熱い」というだけの話ではありません。
外壁は熱で膨らみ、夜になると冷えて縮みます。
その小さな伸び縮みが、何年何十年と繰り返されると、
塗膜や部材には少しずつ負担が積み重なっていきます。
だから外壁の色は、デザインだけではなく、
家を長持ちさせるための大切な性能でもあるのです。
屋根の出っぱりは、太陽から外壁を守っていた

どのような家も、玄関ドアがついているところには屋根があったり、壁が奥まっていたりしています。
それは、ドアを開けた時に雨が降り込んだり、
強い風にあおられたりしないためです。
わが家も、玄関は屋根付きのポーチになっています。
ある夏の夕方。
庭の草木に水をあげていたとき、
何気なく壁に手を触れてみました。
西日が当たる場所には、まだ太陽の熱が残っています。
でも、玄関ポーチの壁はひんやりとしていて、
屋根の下の空気まで少し涼しく感じました。
そのとき、ふと思ったのです。

この屋根は、
雨を防ぐためだけのものじゃなかったんだ。
夏の日差しを遮り、
雨を受け止め、
壁や窓を守る。
家そのものを守る役目が、屋根にはありました。

最近では、軒の出がほとんどない屋根や、
窓に庇のない四角いデザインの住宅を見かけることが増えました。
わたしも以前は、黒い外壁のマンションのような外観に憧れていた時期がありました。
その頃は、
軒のある家は少し昔ながらの家に見えていたからです。
でも今は違います。
出っぱりのある切り妻屋根を見るたびに、
「大切な家を守る帽子」
そんなふうに見えるようになりました。

「手がかからない家」が理想ですか?
わたしも、掃除はできるだけ楽をしたいです。
メンテナンスも少ない方がうれしいと思っています。
でも、それだけを家えらびの基準にはしなくなりました。
汚れないことが価値ではない。
傷まないことが価値でもない。
それら以上に、
長く好きでいられることに価値がある。
今では、そう思うようになりました。
そして、その「長く愛される理由」は、
北欧の住まいづくりの中に隠されていました。
そんな北欧の人々が行なっている家の育て方を、
一緒にのぞいてみたいと思います。
100年後も、愛され続ける家の条件
日本では、「新築」という言葉に特別な価値があります。
真新しい外壁。
新品の木の香り。
誰も使っていないキッチン。
新築が一番きれいで、一番価値が高い。
そんなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
でも、北欧では少し考え方が違います。
家は、建てた瞬間に完成するものではありません。
暮らしながら手を入れ、
その家族らしい住まいへと育てていくもの。
そんな考え方が、今も暮らしの中に根付いています。
スウェーデンでは、
新築だけが特別というわけではありません。
中古住宅を購入し、自分たちの暮らしに合わせて少しずつ手を加えながら住み続けることは、ごく自然な選択です。

新しく住まいを探すとき、
Renoveringsbehov(リフォーム必須)というキーワードが、物件探しの検索ワードとして使われるそうです。
日本では「修繕が必要」と聞くと少し不安になります。
でもスウェーデンでは、「これから自分たちらしい家に育てられる」という前向きな意味も込められています。
「新しいオーナーが家を買ったら壁を壊す。壁がなければ壁を建てる。」
そんな言い回しがあるほど、スウェーデンにはそれぞれの暮らしに合わせて住まいを育てていく文化があります。
それらの国では、築年数だけでは価値は決まりません。
適切なメンテナンスやリノベーションによって、
住まいの価値を育てていく。
そんな考え方が根付いています。
だからこそ、良いエリアでは築100年、あるいは300年という住宅に住むことも珍しくありません。
そもそもストックホルムなどでは、建築規制や土地不足から、戸建てが新築されることはほとんどありません。
木造住宅ならおよそ8〜12年。
塗り壁なら15〜20年。
必要なタイミングで計画的に手を入れながら、
住まいを守っていきます。
外壁を塗り替えるときには、窓や屋根も一緒に直す。
家全体を少しずつ整えながら、
暮らしに合わせて育てていく。
その積み重ねが、家を「長く愛される住まい」に変えていくのだと思います。
だから築100年以上の家も、今でも大切に住み継がれています。
新しいから価値があるのではなく、
長く愛されているから価値がある。
日本の住宅文化は、
この価値観とは少し違うように感じます。

本当の資産価値とは、何でしょう?
家の価値というと、
売るときの価格を思い浮かべることがあります。
もちろん、それも大切です。
でも、わたしはもう一つの価値があると思っています。
子どもが大人になって。
久しぶりに実家へ帰ってきて。
玄関のドアを開けた瞬間、
「やっぱり実家って落ち着くな。」
そう笑ってくれること。
作家の本田健さんは、
お金や不動産といった物質的な豊かさだけではなく、
世代を超えて受け継がれる知恵や思い出を「精神的資産」と表現されています。
わたしも、この言葉に深く共感しました。
その家で過ごした時間を、
家族みんなが大切な思い出として覚えていること。
それも、かけがえのない資産価値ではないでしょうか。
北欧では、家は建てて終わるものではありません。
時間を味方につけて、家族と一緒に育っていくものです。
だからこそ、
50年後も、100年後も、愛され続ける家があります。
Hemma Bäst!では、そんな住まいの価値を、これからも丁寧に伝えていきたいと思います。
今回も、最後まで読んでくださって、
ありがとうございました。



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