住宅価格高騰の時代に、大切にしたいこと

今は家が高すぎる気がする

もう少し待てば、価格が落ち着くんじゃないか

金利も上がってきてるし、今は様子見かな……

ここ数年、家づくりを考える方から、

本当によく聞く言葉です。

実際、住宅価格は

ここ数年で大きく上がりました。

以前なら手が届いていたはずの価格帯が、

今では遠くに感じてしまう。

そんな感覚をもつのも無理はありません。

だから、多くの人が悩んでいます。

「今、建てるべきか」
「それとも、待つべきか」

今回は、この

“家づくり待つべきか問題”について、

少し丁寧に紐解いてみたいと思います。

これまでもあった、”○○ショック”

You Tuber
You Tuber

住宅価格は今後、上がり続けます!

○○ホーム
○○ホーム

今が一番安い時です。買い時です!

とYou Tuberや住宅会社があおっています。

だから、いったん落ち着いて。

冷静に。

今、一体何が起こっているのかを知って、

待つことのメリット

そこにひそむリスク

その両方を、

あなたと一緒に整理してみたいのです。

「ここ数年で、

価格は20%以上も高くなってしましました。」

と、スウェーデンハウスの営業の方が

言っていました。

近所の工務店の大工さんも

「釘の値段が2倍になった。」と、

なげいています。

この数年で家の価格は大きく上がりました。

なぜ、

こんなことになってしまったのでしょう。 

原因は、「木材だけ」「鉄だけ」

という単独の危機ではなく、

世界規模で起きたいくつもの”ショック”が、

同時多発的に

重なってしまったことにあるのです。

2020年〜 ウッドショック

最初の大きな転機は、2020年のコロナ禍でした。

アメリカではリモートワークが広がり、

「都市部のマンションより、郊外の一戸建てへ」

という流れが急速に進みました。

すると、

世界中で木材需要が爆発的に増えました。

一方で、コロナによって製材工場は操業を停止。

人手不足も重なって、

供給が追いつかなくなります。

結果として、日本が輸入していた

北米木材の価格が急騰しました。

住宅の柱や梁に使われる構造材の中には、一時、

以前の2倍近い価格になるものもありました。

これが、いわゆる「ウッドショック」です。

2021年〜 アイアンショック

続いて起きたのが、「アイアンショック」です。

今度は鉄です。

世界的な景気回復によって、

中国を中心に鉄需要が急増。

さらに、

鉄鉱石価格の高騰や供給不安も重なり、

鉄筋・鉄骨・H鋼などが

大幅値上げとなりました。

木造住宅だけでなく、

鉄骨住宅、マンション、ビル建築まで、

あらゆる建築コストが押し上げられていきます。

しかも、鉄だけではありませんでした。

経済再開による需要増加を受けて、

原油価格が上昇。

断熱材、防水材、塗料、接着剤など、

“石油由来の建材”も次々に値上がりしました。

この頃から、

住宅価格は「部分的な値上がり」ではなく、

“家全体が高くなる”フェーズ

に入っていきました。

2022年〜 ウクライナ侵攻と円安

そこへ追い打ちをかけたのが、

2022年のロシアによるウクライナ侵攻です。

ロシアは、

木材、天然ガス、鉄鋼関連資源の大輸出国。

経済制裁によって供給網が混乱し、

世界中で資源価格がさらに上昇しました。

特に深刻だったのがエネルギー価格です。

ガラス、セメント、サイディングなどは、

製造時に大量の熱エネルギーを使います。

つまり、ガス代や電気代が上がると、

建材価格もそのまま上がる構造なのです。

さらに、日本では急激な円安が進行しました。

2022年には1ドル150円台、

2024年には160円近くまで円安が進みました。

日本は多くの建材や原料を輸入に頼っています。

つまり、

「世界で資材価格が上がる」
      ↓
「さらに円安で輸入価格も上がる」

という“二重の値上がり”が起きていたのです。

2024年〜 人手不足と物流コスト上昇

さらに現在は、「人が足りない」

という問題も深刻化しています。

建設業界では高齢化が進み、

若い職人さんが減少。

物流業界でも、

2024年問題と呼ばれる、労働時間規制による

輸送コストの上昇が起こっています。

住宅は、大量の部材を、大量の人が、

長期間かけてつくる産業です。

つまり、人件費と物流費の上昇は、

そのまま住宅価格へ直結します。

しかもこれは、一時的な問題ではありません。

少子高齢化による人不足が続く以上、

今後も“構造的なコスト増”が続く

可能性が高いと言われています。

そして今「ナフサショック」が始まっている

そして2026年現在、

住宅業界は新たなショックに襲われています。

アメリカ・イスラエル・イランを巡る中東情勢の

緊迫化による「ナフサショック」です。

ナフサとは、原油から作られる

石油化学製品の原料
のことです。

実は住宅には、

ナフサ由来の製品が大量に使われています。

たとえば、

・ユニットバスの接着剤
・浴槽コーティング
・断熱材
・配管
・樹脂サッシ
・防水材
・クロス
・フィルム
・テープ類

など。

つまり、ナフサ供給が不安定になると、

住宅設備や建材そのものが作れなくなるのです。

そして実際に、

ホルムズ海峡封鎖による、

ナフサ由来原料の供給難が起こりました。

特にユニットバスは、

接着剤やコーティング材など、

石油化学製品への依存度が高い設備です。

そのため、

「作りたくても部材が入ってこない」

という事態が現実に起き始めました。

その後、

TOTOは4月20日から、LIXILも4月21日から

順次受注・納期回答を再開しました。

ただし、

完全に元通りになったわけではありません。

現在も、(2026年5月)

・通常より長い納期
・個別回答対応
・物流費上昇
・原材料価格の高騰

などが続いていて、

住宅設備業界全体が“不安定な綱渡り”

の状態です。

つまり今回の問題は、

「一時的なトラブル」ではなく、

日本の住宅産業が、海外の資源と

サプライチェーンに依存している限り続く、

構造的な不安定さが背景にあるのです。

住宅価格は、「元にもどる」のか?

ここで、多くの方が気になるのは、

じゃあ、もう少し待てば安くなるの?

ということだと思います。

もちろん、

短期的には価格が下がる可能性はあります

ですが一方で、

・資源不足で建築費上昇
・人手不足で人件費上昇
・エネルギー不足で物流費上昇
・円安で輸入価格上昇

といった“構造的なコスト増”は、

今後も続く可能性が高いと言われています。

つまり現在の住宅価格は、

単なる「一時的なバブル」ではなく、

世界全体の変化を背景にした、

“新しい価格帯”へステージが移行

している可能性
がある
のです。

それでも「待つ」という選択はある

もちろん、私は「何が何でも今すぐ!」

と言うことをお伝えしたいわけではありません。 

「今は待つ」ことが正解になるケースも、

もちろんあります。

  • 頭金の準備がまだ十分でない
  • 身近な人からの強い反対がある
  • 働き方や暮らし方が、定まっていない

家づくりは人生そのものですから、

無理なローンで

今の暮らしを苦しくしては本末転倒です。

「あせって決めない」という判断は、

とても立派な決断だと思います。

ただ、一つだけ気にかけておいてほしいのは、

「なんとなく先送りにすることのリスク」です。

多くの人は、
「価格が下がるまで待ちたい」と思っている

この春、異動やお子さんの入学などで

あなたの生活に何か大きな変化は

ありませんでしたか?

もしかすると、それによって今、昨年より

疲れていらっしゃるかもしれませんね。

人は、ちょっとした変化にもストレスを感じ、

新たなリスクを恐れます。

私たちは、「今の状態を変えない方が安心」

と感じやすいのです。

これは心理学で

現状維持げんじょういじバイアス」と呼ばれます。

簡単に言えば、

  • 決断を先送りしたくなる
  • 今の不満には慣れてしまう
  • 変化による失敗を怖がる

という誰もが生まれつき持っている、

自然な傾向です。

たとえば、

家賃がもったいないなぁ

と思いながら、

毎月払い続ける

冬は寒くて、結露がひどいなぁ

と思いながら、

何年もその家に住み続ける

子ども部屋が足りないなぁ

と感じながら、

とりあえずガマンさせる

でも、その「今は待つ」という選択が、

本当に戦略的な判断なのか。

それとも、

“決断を先延ばしにしているだけ”なのか。

もう一度よく考えてみてはいかがでしょうか?

最後に考えたいのは、「時間の価値」

家づくりのコストを考えるとき、

私たちはつい「建築コスト」つまり

「お金」ばかりに目が向いてしまいます。

でも、実はもっと大切なのが

「時間のコスト」です。

高性能な家での暮らしは、

単に「光熱費が安い」だけではありません。

冬の朝、すんなり布団から出られること

外の音を気にせず、静かに語り合えること 

家事がラクになり、心にゆとりが生まれること

もし、価格が下がるのを5年待つとしたら、

その5年間の「快適で健やかな時間」を、

あなたは手放していることになります。 

特にお子様と過ごす時間は、

私たちが思うよりもずっと、

驚くほど短いものです。 

家の中をかけ回る小さな足音

リビングで一緒にふざけ合って笑う時間。

「一緒に寝よう。」と甘えてくれる時期。

その貴重な「黄金の時間」は、

後からどんなにお金を出しても、

買いもどすことはできないのです。

おわりに

「今は高いから、待った方がいいですか?」 

この問いに、100%正しい答えを出せる人は、

この世に一人もいません。

未来の金利も、国際情勢も、

誰にも完全に読み切ることはできないからです。

だからこそ、

判断の軸を

「市場の価格」から「自分たちの人生」

へ戻してみませんか。

  • 自分たちにとって無理のない計画か
  • この先、どんな暮らしを大切にしたいか
  • 大切な家族と、どんな時間を過ごしたいか

家づくりはタイミングのゲームではなく、

人生をより豊かにするための手段です。 

あなたが「今、この時間を大切にしたい」

と心から思えたとき。

それが、結果としてあなたにとっての

「家づくりを考える最良のタイミング」

になるのだと思います。

今回も最後まで読んでいただいて

ありがとうございました。

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