前回の記事では、日本からの視察団が、北欧で偶然出会ったスウェーデン式住宅の堅牢さと断熱性能に驚かされた、と言うお話をしました。
スウェーデン式住宅の分厚い壁や高気密・高断熱の窓は、北欧の極寒の冬を生き抜くために生まれ鍛えあげられてきました。
では、その北欧の気候に合った北欧住宅は、日本の気候風土や自然の中では、どのようにその性能を発揮するのでしょうか。災害大国と呼ばれる日本で次々と起こる自然災害に耐えることはできるのでしょうか。
このブログでは、北欧生まれの高性能住宅「スウェーデンハウス」について、まだあまり知られていない魅力や性能を、分かりやすく丁寧にお伝えしています。
今回は、その中でもみなさんが一番気になっている「耐震性能」についてのお話です。
日本は世界有数の地震大国
みなさんの記憶にもまだ新しいと思いますが、2011年の東日本大震災(M9.0、最大震度7)、2016年の熊本地震(M7.3、最大震度7)、そして2024年元日に発生した能登半島地震(M7.6、最大震度7)と、日本列島は繰り返し大地震に見舞われています。
いつどこで起こるかわからない地震のリスクの中で、大切な家族を守るために、安心して暮らせる住まいを求める気持ちは誰にでもあるはずです。 だからこそ、「北欧生まれのスウェーデンハウスが、日本の地震に耐えられるの?」と感じるのは自然なことかもしれません。
実際、スウェーデンは地震がほとんどない国。2020年、スウェーデン最北端の都市キルナで起こったM4.9の地震が、近年で最も大きな地震とされるほどです。
それに対して日本列島は、太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレート、ユーラシアプレートという4つの巨大プレートが交差する、世界屈指の地震多発地帯です。

日本付近のプレートの模式図 出典:気象庁
下の地図の赤い点が2014年から2023年の間に、世界中で地震が発生した地域を示しています。地図の中央にある日本列島は、その赤い点が帯状に連なる範囲にすっぽりと収まっています。つまり、これは「日本のどこにいても、地震に遭うリスクがある。」と言うことを表しています。

世界の主なプレートと地震分布 出典:気象庁
地震とプレートテクトニクスの関係
地震は、地球の表面を覆うプレートの動きによって引き起こされます。プレートがぶつかったり、ずれたり、沈み込んだりすることで、岩盤に大きなエネルギーがかかり、限界を超えたときに岩盤がずれて地震が発生します。
これを説明する理論が「プレートテクトニクス」です。

南海トラフ地震の発生メカニズムの概念図 出典:気象庁
日本列島は、まさにこのプレートの衝突・沈み込み帯の真上にあるため、常に強い地震エネルギーの影響を受けているのです。
日本の耐震基準はこうして作られてきた
では、この地震大国である日本で、日本の住宅はどのように地震に備えてきたのでしょうか。
日本の耐震に関する制度は、以下のような地震災害をきっかけに、段階的に強化されてきました。
1950年:建築基準法制定それまで都市ごとにバラバラだった建築規制が、全国共通のルールに統一される。耐震性にも初めて注目される。
1968年 十勝沖地震
柱の靭性(じんせい:粘り強さ)不足が原因で、多くのRC造(鉄筋コンクリート)建築が被害を受けた。
■ 1971年改正
RC造の柱が崩壊した反省から、鉄筋の基準強化など「部分崩壊を防ぐ」方向で改正。
1978年 宮城県沖地震
■ 1981年:「新耐震基準」導入
これが現在の耐震基準の原点ともいえる大改革。
「数十年に一度の中規模の地震では損傷しない」「数百年に一度の大地震でも倒壊しない」ことが基準となった。
1995年 阪神・淡路大震災
新耐震基準に適合した建物でも倒壊被害が出たことでショックを受けた。
■ 2000年改正
木造住宅にも構造計算が義務化され、耐力壁の配置や接合部の設計がより厳密に。
2016年 熊本地震
新耐震基準を満たした住宅でも、震度7の連続発生によって倒壊が多発。
2024年 能登半島地震
約9万1000棟の住宅被害が発生。能登瓦や壁の少ない昔ながらの木造家屋の倒壊が目立った。
■ 2025年改正
これまで構造計算が免除されていた木造の2階建て以下で延べ面積が500㎡未満の建築物も、許容応力度計算などによる確認が必要に。
熊本地震が示した耐震の限界と課題
熊本地震による住宅への被害は、日本の耐震基準について考え直すことを迫るものでした。そして、
以下のような3つの重要な課題が明らかになりました。
- 繰り返し地震への脆弱性(ぜいじゃくせい:傷つけられやすいこと)
- 新耐震基準は「1回の大地震」しか想定しておらず、2回目の震度7で倒壊する住宅が続出。
- 耐震等級1の限界
- 建築基準法を満たす最低基準に過ぎず、命は守れても「住み続ける」には大きな補修が必要。
- 施工と地盤の質が結果を左右
- 設計上は問題がなくても、現場の施工ミスや地盤対応の不備によって損壊が発生。

日本の建築業界が取り組む安全対策
日本列島は4つのプレートがぶつかり合う世界有数の地震多発地帯。阪神・淡路大震災や東日本大震災、さらには能登半島地震と、大きな地震は繰り返し私たちの暮らしを襲ってきました。日本の住宅にとって「地震への備え」が最優先すべき課題なのです。
では、日本の建築業界はどのように安全対策を進めてきたのでしょうか。
耐震性能を理解する上で、まず押さえておきたいのが「耐震基準」と「耐震等級」です。
- 耐震基準 … 建築基準法で義務づけられた最低限の基準。これを満たさない建物は建てられません。
- 耐震等級 … 耐震基準をクリアしたうえで、さらに建物の強さを数値化した任意の評価制度。つまり、安心を求める人のための“選べる指標”です。
この制度が生まれた背景には、1995年の阪神・淡路大震災がありました。死者6,000人超、全壊10万棟以上という未曽有(みぞう:今までなかったこと)の被害を受けて、「倒れなければいい家」ではなく「より強く、安心して暮らせる家」が望まれるようになりました。
2000年には「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」が施行され、住宅性能表示制度がスタートしました。火災や劣化対策など10分野33項目の性能評価が導入され、その先頭に置かれたのが「耐震等級」でした。
耐震等級の区分
耐震等級には3つの区分があり「耐震等級3」が最高ランクの性能です。

出典:大和ハウス工業
数字が大きいほど耐震性は高まり、安心度も増していきます。
等級を左右する3つの要素
耐震等級は、以下の要素の強度を総合的に評価して決まります。
1:壁の強さ (耐力壁の量と配置・床の強度)
2:部材の強さ (柱や梁の強度・柱や梁の接合部の強度)
3:地盤・基礎の強さ (基礎の強度)
まとめ:耐震性能は「命を守る力」と「住み続けられる力」
熊本地震や能登半島地震が私たちに伝えているものは、「倒れなければいい家」の時代は終わったという事実です。繰り返す余震にも耐え、災害後も住み続けられる家こそが、これからの住宅に求められる性能です。
実際、災害時に対策本部が置かれる消防署や警察署は「耐震等級3」を標準としています。住まいに求められる耐震性能の水準 ー 耐震等級 ー も、自ずと明らかではないでしょうか。
スウェーデンハウスは、全ての家が標準仕様で「耐震等級3」を実現し、大地震の後も家族の暮らしを守り、安心して住み続けられる住まいを提供しています。

次回の記事では、北欧で生まれながらも、日本の厳しい地震環境に対応したスウェーデンハウスが、どのような構造・性能・検証を経て「耐震等級3」を実現しているのかを、詳しくご紹介していきます。
どうぞお楽しみに!



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